地下鉄一駅分のポチポチ

ゆるゆる雑談 暇つぶしにどうですか

(短編)無題

その日は、晴天だった。

何日も続いていた雨が嘘のような、気持ちの良い青空だった。

はらはらと桜の花が散っていた。

 

「すきだ」

「…なんで今?」

 

今日は卒業式だった。

彼女と僕の進学先は違っていた。

僕は彼女にずっと片思いをしていた。

 

「なんでって…」

「チャンスいっぱいあったじゃん」

 

同じクラスで、席も隣になった事がある。修学旅行は違う班だったけど、学園祭の実行委員は一緒だった。

僕にとって彼女は眩しい存在だった。

なぜか教室のどこにいてもすぐにわかった。目で追っている訳ではないのに、空気で分かる。

彼女の体から光が出ているのではないか本気で疑ったこともある。

彼女は透き通っていた。キラキラと輝いて、眩しくて真っ直ぐに見られなかったのだ。

 

「隙がなかったんだよ」

「私にはずっとあったよ、すき」

 

 

桜が、舞う。

 

「え、それ、どっちの、」

「ばーか」

 

ニヤリと笑う彼女は、教室の中でも、桜の舞う中でも、彼女は輝いていて僕は真っ直ぐに見られなかった。

 

 

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